音楽と人の出会い
朝日新聞の人・脈・記というコラムに「ピアノが見た夢」連続記事があった。ノーベル化学賞を受賞した東大教授・小柴昌俊さんが地下1000mで素粒子観測装置を造って実験したというニュースを見たことがあったが、1994年空洞の完成祝いにピアニスト遠山慶子さんを招いて演奏会を開いたという。
小柴さんは中学1年に楽器店でチャイコフスキー「白鳥の湖」を聴き、美しい響きに魅せられ作曲家にあこがれた。その歳の秋小児麻痺にかかったが、担任教師から見舞いで「物理学はいかに創られたか」を貰ったという。退院したが手足は思うように動かない。ある日登校中に転び起き上がれなくて、惨めな思いを持った。見上げた空が涙に滲んだという。右手に障害が残り作曲家の夢は諦めた。
旧制一高時代、寮の風呂場で「小柴の成績では物理学に進むのは無理だろう」という陰口を耳にし、こんちくしょうと猛勉強、東大へ進み、ノーベル賞に結びつく研究に進んだ。その傍らに何時もクラシック音楽があった。留学先の米国でバッハのオルガン曲のレコードを買い込んだ。
遠藤周作は東京に遠山慶子さん、夫の音楽評論家遠山一行さんが世話役になってサロンを開いた。そこで月2回ほど文化人が集まって講演や演奏を楽しみ、加賀乙彦、三浦朱門、河合隼雄らが顔を出していた。1988年遠藤が一緒に功労者に選ばれた小柴を誘ったのが、遠山慶子さんとの出会いで、そのピアノを聴き「モーツアルトが体にしみこんでくる」といった(以下略)。
これは興味深い「音楽と人の出会い」である。
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